10/8(土)15:30から,京都大学・文学部第1講義室にてセミナー・交流会を開催します。今回のセミナーでは,関西で活躍されている若手研究者の永楽博士(分子系)と鹿内博士(システム系)をお招きしています。お時間のある方はぜひ気軽にお越し下さい!

日時:2011/10/08(土)15:30-
場所:京都大学 文学部 第一講義室
ポスター:こちら(.pdf形式,532KB)

プログラム

15:30~16:30永楽 元次 博士
(理化学研究所・発生再生センター・立体組織形成ユニット副ユニットリーダー)
「三次元神経組織の自己形成とその原理 〜形と機能を作る試み〜」
16:45~17:45鹿内 学 博士
(京都大学大学院情報学研究科 特定研究員)
「他者の状態推定と報酬系の領野間ネットワーク」
18:00〜20:00懇親会(セミナー会場にて1,000円程度)

要旨

講師:
永楽 元次 博士
理化学研究所・発生再生センター・立体組織形成ユニット副ユニットリーダー
演題:
「三次元組織の自己形成とその原理 ~形と機能を作る試み~」

個体の発生過程において、各器官はその機能発現に適した組織形態を獲得する。器官の形態形成は、個々の細胞の分化や増殖、移動といった複数の異なるイベントが同時に起きる極めて複雑な現象である。形態形成のメカニズムを理解することは発生学の大きな目標の一つであり、近年様々なアプローチによりそのメカニズムの一端が明らかになりつつある。しかしながら、ほ乳類の器官発生過程を経時的に観察することは難しく、そのメカニズムの多くは未知のままである。

今回我々は、マウス胚性幹細胞の凝集塊の三次元培養を用いて、網膜神経上皮から眼杯構造(optic cup)が自律的に形成されることを明らかにした。胚性幹細胞由来の網膜上皮は自然に半球形の小胞を作り、その近位–遠位軸に沿ってパターンを形成する。近位部分は力学的に強固な色素上皮(pigmented epithelium)へと分化する一方、柔軟な遠位部分はしだいに内側へとたたみ込まれて神経網膜(neural retina)へと分化し、胚の眼杯によく似た形態を獲得する。この単純な細胞培養系での眼杯形成から、網膜神経上皮における局所的な上皮特性の獲得と形態形成が、段階的かつ領域特異的に調節される内在性の自己組織化プログラムによって起こることが実証された。

今回は以上の実験結果を紹介するとともに、in vitroでの機能的な器官形成についての今後の展望も合わせて議論したい。

講師:
鹿内 学 博士
京都大学大学院情報学研究科 特定研究員
演題:
「他者の状態推定と報酬系の領野間ネットワーク」

多くの人は他者との関わりの中で日常生活をしている.神経科学においても他者との関わりは一つの大きなテーマであり,ミラーニューロンに代表される他者の行動理解などの研究がある.一方,その日常生活の中では,次に実行する行動のために,状況を認識し意志決定するという行為がある.特に近年では,大脳辺縁系などで実現される報酬系も関わる意志決定がさかんに研究されている.社会的報酬といわれる他者と関わりで生じる報酬系の脳活動も知られており,脳の他者理解に関わる系と報酬係の関係が注目されている.

また,神経科学では遺伝子,細胞,神経回路など脳の様々な大きさが研究対象となるが,本発表のfMRI研究はヒトの認知行動にかかわる情報処理機構の解明を目指しており,その研究対象は脳の領野を単位とした個体の脳全体である.これまでのfMRI研究では,心理学で発展した実験パラダイムとの親和性もあり,ある機能がどこの領野で実現されているか(機能局在)を調べる事が主な目的であった.しかし,機能局在によって実現される機能だけでなく,複数の領野にまたがる回路によって実現される機能もある.近年では情報理論の発展などにより,fMRI実験のデータから領野間の結合性を定量的に検証し,回路を議論できるようになりつつある.

本発表では,脳の報酬系と他者理解にかかわる系により実現されている情報処理について,領野間結合性を検証しながら,議論したい.

参加申込

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