来る1月27日(土)、東京大学 本郷キャンパスにて、第20回談話会を開催する運びとなりました。今回の談話会「直観的・協調的判断の神経機構」では、東京大学 大学院総合文化研究科の中谷裕教先生と東京大学 大学院人文社会系研究科の小倉 有紀子先生をお招きしてご講演頂きます。

日時:2018年1月27日(土) 受付 13:00~、 談話会 13:30~17:45、 懇親会 18:30~
場所:東京大学本郷キャンパス 薬学系総合研究棟6階 E6セミナー室
アクセス:http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_10_02_j.html
会費:談話会 100円、懇親会 3000-3500円程度(予定)

講演者紹介

中谷 裕教(なかたに ひろのり)先生
 
東京大学 大学院総合文化研究科 助教
https://sites.google.com/site/nakatanihironori
演題「将棋棋士の直観を脳機能イメージングで探る」
要旨:
優れた直観はエキスパートの認知機能の特徴です。例えば、チェスのグランドマスターは局面を一目見るだけで最善手を案出します。私は、この直観的な認知機能に小脳が関与していると考え、それを検証するために将棋棋士の直観に関わる脳活動を脳機能イメージングにより調べています。小脳は運動の学習と制御の中枢です。練習を始めたばかりの頃は意識的に手足を動かしますが、熟練に伴い意識しなくても手足を上手に素早く動かせるようになります。もし小脳が運動だけでなく認知機能の学習と制御に関与しているとしたら、熟練に伴う直観に小脳が主要な役割を果たしている可能性があります。本講演では、チェスを用いた直観に関する認知科学的な研究について紹介した後、将棋棋士の直観的な判断に関わる認知特性や脳活動について紹介します(Wan, Nakatani, et al., 2011; Nakatani, Yamaguchi, 2014)。その後、現在進めている直観に関する小脳仮説の研究を紹介しながら、議論を行います。

小倉 有紀子(おぐら ゆきこ)先生
 
東京大学 大学院人文社会系研究科 特任研究員
https://researchmap.jp/y-ogura
演題「社会性の神経・生物学的基盤を考える——ヒヨコとヒトの「社会的促進」から」
要旨:
ヒトを含めた多くの動物では、他者がいると行動が速くなったり、頻度が増したりします。こうした「社会的促進」は古くから知られていましたが、神経機構(至近要因)・生物学的機能(究極要因)に踏み込んだ研究はほとんどありませんでした。
私たちはヒヨコを用いて、餌に近づく行動の社会的促進が、餌の量を統制してもなお生じること、脳の複数の回路が寄与することを明らかにしました。ヒトを対象とした実験からも、食物に手を伸ばす回数は社会的に促進される一方、摂食量は増えないことがわかりました。社会的促進には「運動コストを増やしてでも最悪の事態(相手に餌を独占される)を避ける」機能があり、その場の競争がなくても自動的に立ち上がることを示唆します。
本講演では、研究対象・分野の転向についてもお話しします。演者はいま文学部社会心理のポスドクですが、出身は理学部生物学で、最初のポスドク先は精神科医局でした。現在進行形で悪戦苦闘しておりますが、一つの参考事例(反面教師?)になれば幸いです。

スケジュール

13:00-受付開始
13:30-13:40挨拶
13:40-14:55小倉先生ご講演
14:55-15:05休憩
15:05-16:20中谷先生ご講演1
16:20-16:30休憩
16:30-17:45中谷先生ご講演2
18:30-懇親会

参加申込

下記お申し込みフォームまたはこちらより、2018年1月12日(金)までにお申し込みください。参加申込みは締め切りました。

〆切:
2018年1月12日(金)参加申込みは締め切りました。
談話会のみ、あるいは懇親会のみの参加も大歓迎です。
お申し込みが完了した場合は自動返信メールがご記入のメールアドレスに送られますので必ずご確認下さい。
1時間以内に自動返信メールが届かない場合はお手数ですが再度お申し込み下さい。
なお、会場の席数には限りがありますので、参加者多数の場合、抽選となることがあります。ご了承ください。
主催:
脳科学若手の会
世話人:
川端 政則 (玉川大学 脳科学研究科)
八木 佐一郎 (東京大学 大学院薬学系研究科)
お問い合わせ:
info@brainsci.jp