脳科学若手の会第19回談話会「神経回路モデルの学習と表現」
2017.06.04
来る6月4日(日)、理化学研究所 脳科学総合研究センターにて、第19回談話会を開催する運びとなりました。
今回の談話会は、理化学研究所の磯村拓哉さんをお招きして「神経回路モデルの学習と表現」というタイトルでご講演頂きます。
併せて、脳科学若手の会スタッフの長野祥大さんと加藤郁佳さんにもご自身の研究内容についてご講演いただきます。
皆様のご来場を心よりお待ちしております。
日時: | 2017年6月4日(日) 受付 14:00~、 談話会 14:30~17:50、 懇親会 18:00~ |
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場所: | 理化学研究所 脳科学総合研究センター 中央棟 3階 小セミナー室 S305 |
アクセス: | http://www.brain.riken.jp/jp/access |
会費: | 談話会 100円、懇親会 400円程度(予定) |
講演者紹介
- 磯村 拓哉(いそむら たくや)さん
- 理化学研究所 脳科学総合研究センター 基礎科学特別研究員
- https://sites.google.com/site/takuyaisomura
- 演題「自由エネルギー原理は脳の統一法則となるか?:実験と数理モデルを使ったアプローチ」
- 要旨:
- 生物がどのように外界を知覚しているのかはまだ良く分かっていません。近年提案された数理的法則「自由エネルギー原理」によると、感覚入力の予測不可能性を意味する自由エネルギーを最小化するように神経活動やシナプス結合が変化することで、外界の力学系を模倣したモデル(内部モデル)が脳内に構築されると考えられています(Friston, 2010)。しかし、実際の神経回路網の学習過程が自由エネルギー原理に従うのかはまだ分かっていません。本発表では、自由エネルギー原理の概要と現状の問題点を解説した後、培養神経回路網(ラット大脳皮質由来)を電気刺激により訓練することで、自由エネルギー減少を伴う学習過程を観察した結果(Isomura et al, 2015)について報告します。また神経回路網の学習過程から着想を得て開発した生物学的に妥当な数理アルゴリズム(Isomura, Toyoizumi, 2016)について紹介し、これらの結果により自由エネルギー原理の問題点がどこまで解決されたのか、残る問題を今後どう解決するのかについて議論します。
- 加藤 郁佳(かとう あやか)さん
- 東京大学 総合文化研究科広域科学専攻 博士課程1年
- http://loop.frontiersin.org/people/132649/overview
- 演題「強化学習理論でモチベーションのメカニズムを探る」
- 要旨:
- 多くの実験からドーパミンを減少させるとゴールへの到達時間が長くなる、高いコストを払って大きな報酬を得ようとしなくなる等のモチベーションの低下が起こることが示唆されてきました(Salamone et al., 1994,Ikemoto & Panksepp, 1996)。しかし現象が報告されてから20年以上経っているにも関わらず背後にあるメカニズムは依然謎に包まれています。そこで我々は、強化学習モデルを拡張して現象の説明を試みました(Kato&Morita 2016)。その結果、学習した価値が減衰することを仮定すると、強化学習モデルを用いて複数の実験結果を再現できることがわかりました。本発表では、この研究に至るまでのドーパミンの報酬に関連した機能について概説し、なぜ減衰項を入れると現象が再現されるのかについて解説したのち、仮定した神経基盤の妥当性や実験的な検証方法について議論します。
- 長野 祥大(ながの よしひろ)さん
- 東京大学 新領域創成科学研究科複雑理工学専攻 博士課程1年
- http://ganow.me
- 演題「深層生成モデルにおける推論のダイナミクスが示す概念への引き込み」
- 要旨:
- 近年、主に画像生成などの分野で深層ニューラルネットワークを用いた生成モデル (深層生成モデル)が注目されています。これらのモデルはサンプリングを用いた確率的推論を行うが、その過程で入力データをどのように認識するかについては多くが未解明です。我々は代表的な深層生成モデルの一つである Variational Auto-Encoder (VAE) [Kingma+2013] を対象として、階層的なデータセットに対してモデルがどのようなサンプリングダイナミクスを示すかについて検証しました。本発表では VAE のサンプリングダイナミクスが多数の学習させた入力パターンの中心、”概念”に一度近づいたあとそれぞれの記憶パターンへ遷移することを報告します。また,入力に加えるノイズの大きさと引き込まれる概念の抽象度の関係についても合わせて報告し、VAE の推論の戦略が外部入力の不確実性に依存してどのように変化するか議論します。
スケジュール
14:00- | 受付開始 |
14:30-14:40 | 挨拶 |
14:40-15:20 | ご講演1 (長野さん) |
15:20-15:30 | 休憩 |
15:30-16:10 | ご講演2 (加藤さん) |
16:10-16:20 | 休憩 |
16:20-17:50 | ご講演3 (磯村さん) |
18:00- | 懇親会 (1時間程度を予定) |
参加申込
下記お申し込みフォームまたはこちらより、2017年5月26日(金)までにお申し込みください。
応募者多数のため申込は締め切りました。
- 〆切:
2017年5月26日(金)参加申込みは締め切りました。- 談話会のみ、あるいは懇親会のみの参加も大歓迎です。
- お申し込みが完了した場合は自動返信メールがご記入のメールアドレスに送られますので必ずご確認下さい。
- 1時間以内に自動返信メールが届かない場合はお手数ですが再度お申し込み下さい。
- なお、会場の席数には限りがありますので、参加者多数の場合、抽選となることがあります。ご了承ください。
- 主催:
- 脳科学若手の会
- 世話人:
- 川端 政則 (玉川大学 脳科学研究科)
- お問い合わせ:
- info@brainsci.jp