2010年9月1日(水)、Neuro2010若手サテライトシンポジウム「若手研究者とのクロストーク」を神戸国際会議場にて開催しました。この企画は,日本神経科学学会の後援による,Neuro2010公式サテライトシンポジウムとして行われました。

講演者として,近年神経科学分野において目覚ましい成果を挙げられた,4名の若手研究者の方々をお招きしました。東京薬科大学の上川内あづさ先生、ストラスクライド大学の坂田秀三先生、玉川大学(日本学術振興会SPD)/カリフォルニア工科大学の土谷尚嗣先生、広島大学の松本知也先生の順に講演をしていただきました。本シンポジウムでは、研究の内容についてだけではなく, そこまでの道のりや,キャリアプランについてもお話していただくことを目的とし、ノンアカデミックな質問も受け付けることを前提に企画・宣伝をしました。講演は英語ですが,質疑応答は日本語・日本語ともに受付可能としました。参加登録締め切り時で、すでに100人を超える方にご登録を頂き、実際に当日も100名を裕に超えるオーディエンスの方々にお集まり頂きました。

上川内先生にはドイツでの留学生活と、そこで行った共焦点顕微鏡を用いてのショウジョウバエの聴覚研究の系の立ち上げ、特に神経回路のお話や、最初のポジティブシグナルを得るまでの試行錯誤をお聞かせ頂きました。また、ドイツ内での共同研究のお話、研究仲間とのお話もしていただきました。坂田先生はアメリカへの留学の経緯と、その際どのようにラボを選んだか、そこでなさったラットの聴覚の機能と構造の電気生理学的な解析の話、そして現在研究室を主催していらっしゃるスコットランドのお話をしていただきました。土谷先生も留学先の選び方やそこでの意識の認知神経科学研究の話をしてくださいました。また、海外留学生活の「光と影」やスピーキングやリスニングと比較して、見落とされがちな英文ライティングの難しさと重要性もお話くださいました。最後の松本先生はご自身がこれまで研究されてきたBDNF研究の歴史を年代順に丁寧に解説頂き、留学先でBDNF研究発祥の地でもあるスイスのお話や、海外留学に関して、その目的が何であるかが重要であるといった旨のお話をしていただき、シンポジウムは締めくくられました。

会場からの質問も沢山頂き、活発な意見交換がなされました。学部生の方からも熱心に質問をして頂きましたし、さっそく英語で質問をこなす方が多く見られ、海外留学への意識の高さが伝わって参りました。それと同時に、海外留学への迷いや研究者としての今後への迷い等も見受けられました。上川内先生に対しては、今回唯一の女性スピーカーということもあり、女性研究者としての生き方に関しても質問がありました。また、海外留学のタイミングや結婚のタイミングなど、これからの若者が研究者を職業として生きる上での様々な質問が飛び交いました。さらに、シンポジウム終了後も、参加者の内、抽選で選ばれた希望者と講師の先生方は、Neuro2010主催の若手研究者国際交流会にも参加し、そこでさらに議論を深め、語り合いました。