2011年9月30日(金)、第4回脳科学若手の会東北部会若手フォーラム/第37回東北大学脳科学GCOE若手フォーラムが開催されました。今回のフォーラムは、研究交流のより一層の推進を目的とした「研究室、研究手法の紹介」と、「ラボノートの作成・活用術と著作権」の2部構成で開催いたしました。

前半の「研究室、研究手法の紹介」、1人目の東北大学高次機能障害学分野GCOE助教授 林敦子先生からは「臨床研究、機能画像研究とその研究手法」というテーマでご講演頂きました(図1)。神経疾患あるいは脳損傷による記憶、言語などの心理過程の障害を診療および研究の対象とし、症状の把握、その土台にある大脳の働きを究め、障害治療を進めることを目標としています。アルツハイマー病など各々の神経疾患に伴う高次機能障害に対し、統計学的アプローチを用いた研究、また、健常者の脳の機能に対し、fMRIなどの機器を用いた非浸襲的研究についてご講演頂きました。

2人目、東北大学膜輸送機構解析分野 森靖典助先生からは「海馬ニューロンの分散培養法について」というテーマでご講演頂きました(図2)。細胞生物学の分野の話題から始まり、神経細胞の基礎的な説明、また実際にどのような手法を用いて研究が行われているのかをご説明頂きました。話題の中には、分散培養の利点や欠点、また実際の様子を動画でご説明頂き、小胞の輸送の仕組み(メカニズム)、樹状突起特異的な輸送メカニズムの解明に向けて分かりやすくご講演頂きました。

3人目、東北大学分子生物学分野博士2年 佐藤佳亮先生には「遺伝子工学的手法を通して知る遺伝子機能 ―オキシトシン受容体を例に―」というテーマでご講演頂きました(図3)。遺伝子変換マウスを主に使用し、分子生物学的手法をメインにしながら、様々な機能を担うオキシトシンがどの様な脳内での活動をしているのかについて詳しくご説明頂きました。自作の遺伝子変異マウスを作ることで、独自性の高い解析を行うことが可能であり、また研究の具体例として、胎児期のオキシトシン暴露が成獣の行動に及ぼす影響、OXTRレスキュー(母性行動)についてご講演頂きました。

後半の「ラボノートの作成・活用術と著作権」では、東北大学 産学連携推進本部 知的財産部長 特任教授 塩谷克彦先生にご講演頂きました(図4)。ラボノートの起源に始まり、目的と役割、証明力を維持するために求められること、ラボノートに求められる条件について、ノーベル賞・田中氏を具体例に詳しくご説明頂きました。また、著作権については、著作者の権利、著作権の制限、利用許諾方法などについてご講演頂きました。複写などが学校、教育機関なら何でも認められるのか、他者の論文等を引用する場合など、今一度考える貴重な時間を共有することができました。